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「走行時間(距離)を伸ばそう」竹谷賢二

Friday, 4月 23, 2010

竹谷 賢二(スペシャライズド ジャパン) 

プロフィール:

サラリーマン時代にポラールを活用したトレーニングで日本一に輝く。 その後プロへ転向し数々の日本タイトルを獲得。 ポラールを長年実践してきた経験から、多くのトップアスリートに トレーニングアドバイスをおこなう。

アテネオリンピック日本代表(2004)
全日本選手権優勝4回(2000,2003,2006,2007)
競技カテゴリー:MTB
所属:スペシャライズド

 

Vol.4 2010.4 「走行時間(距離)を伸ばそう」竹谷賢二

前回のベーストレーニングとして、走行時間、距離を伸ばすのはとても有効です。また人気のイベント、ロングライドに挑戦する方も多いことでしょう。今回はこの長時間、長距離=ロングライドについて解説します。

ロングライドをするということは、さまざまな状況、地形を走ることになります。オールインワンのトレーニングライドともいえます。平地、アップダウン、峠、ワインディングの下り、追い風、向かい風、を走れば、いろいろな負荷、いろいろな経験を自然に得ることが出来るのです。このメリットはとりわけ初級者の方にとって、あらゆる基礎能力を高めていくことに繋がるのでとても効果的です。

このロングライドを行うときにとても役に立つのが、ポラールハートレートモニター(HRM)です。ロングライドに適切な運動強度を得るために、心拍数を目安にしてペースコントロールすることで、無理なく効率的に長時間走り続けることが出来ます。

これには、運動のエネルギーの供給源に何を用いるのか、ということが関わってきます。筋肉の運動には体内に蓄えられている糖質と脂質が主なエネルギーに使われます。スタートダッシュや急加速、急な登りや高速走行などで運動強度が強くなると(時間当りのエネルギー必要量の多い状態)素早いエネルギー供給が必要になり、その速度の速い糖質が主に使われます。

逆に、穏やかで安定的なイーブンペースのような運動強度の弱いとき(時間当りのエネルギー必要量の少ない状態)では、エネルギー供給速度の低い脂質が主に使われます。

この糖質と脂質は、体内での蓄積量では圧倒的な差があります。

糖質は体内ではグリコーゲンとして蓄積されていますが、体重70 kgの男性だと筋肉内にに500g、肝臓内に100gといわれています。1gあたり4kcal(キロカロリー)なので、糖質代謝由来のエネルギー蓄積量は2,400kcalと言えます。

脂質は全身の皮下脂肪、内臓脂肪として蓄積されていますので、そのエネルギー量は膨大です。70kg男性が体脂肪率7%のアスリートだとしても4.9kgもあり、1gあたり7kcal(キロカロリー)なので、脂質代謝由来のエネルギー蓄積量は34,300kcalと糖質の14倍もあるのです!

ですから、限りのある糖質だけではなく、脂質も有効活用することが長時間、長距離を走り続けるために必要なのです。

さらに糖質は、脳みその唯一のエネルギー源となっています。

ですから、糖質が枯渇してくると、脳へのエネルギー供給を優先させるために、筋肉運動をシャットダウンさせようとします、これが疲労の要因の一つとなっています。

この糖質と脂質を有効活用出来る運動強度を知るために、心拍数を目安に用いるのです。ポラールハートレートモニターの機能でもあるOwnZone(オウンゾーン)では、それに適した心拍数の範囲を、その日のウォーミングアップ中の体調から、自動的に算出、モニター上に示してくれます。この範囲、ゾーンの心拍数を保った、ギア、ケイデンス、スピードにして走り続けることが、糖質と脂質を有効活用した最適なペースとなるのです。

また、ポラールハートレートモニターのなかでも、スポーツゾーン機能が装備されているモデルであれば、より詳しい、範囲を知ることが出来ます。これは推定値の最大心拍数から、5段階に運動強度を範囲分けします。

このなかで真ん中のレベル、Moderateゾーンと、その下のLightゾーンがロングライドに適したゾーンです。

 

※スポーツゾーンを挿入してください。

 

エネルギー由来はModerateゾーンだと概ね糖質50%:脂質50%となりますが、Hardゾーンに超えると急進的に糖質の割合が高くなり、糖質100%になっていきます。Very Lightゾーンでは脂質の割合が多くなりますが、エネルギー供給速度が遅くなり大きなパワーを出すことが出来ませんので、速度も低くなり、峠も登れませんから、一日のなかで何キロ乗れるか(平均速度x時間=距離)を問うロングライドには適しません。

このことから、Light~Moderateゾーンの心拍数をキープして走り続けることをオススメしています。

平地はLightゾーンで巡航し、峠はModerateゾーンを超えないように登り、下りで休み、次の平坦はまたLightゾーンで、というペース配分ですと、体内のエネルギーを最適に使いながらの長時間のロングライドが実現出来ます。

また、この時、どんなに適切にペース配分しても、糖質はドンドン消費していきます。そうすると、前述、脳へのエネルギーが減ってしまうと、疲労を感じペースダウンしてしまいます。ですから、走り続けるためには、糖質を積極的に補給してあげることが、ロングライドを走り続けるために重要になってきます。

 ・ 素早くエネルギーに活用出来るブトウ糖や果糖が多く含まれるもの  ・ 胃腸での消化吸収に負担がかからないように脂質の少ないもの  ・ 適時に適量を小マメに摂取出来る形態のもの

 

これらを満たすものを選んで、目安として1時間あたり200〜400kcal分を摂ると良いでしょう。

加えて、発汗や呼吸で失われる水分補給も同じく重要です。1時間あたりボトル1本(約600ml)を飲み切るくらいが目安となります。また、このときに電解質(塩分)や各種ミネラルも同時に補給できるようなドリンクが適切です。

このように、ポラールハートレートモニターを使い、適切なギア、ケイデンス、スピードを保ち、、エネルギーと水分補給をしながら走り続けると、ドンドン走行時間、走行距離が伸ばせるはずです、ゴールを目指して頑張ってください!

 

前回の記事

 

Vol.3 年間メニューの作り方[PDFのダウンロード]

 

Vol.2 サイクリングのベーストレーニング[PDFのダウンロード]

 

Vol.1 心拍トレーニングとの出会い[PDFのダウンロード]